ローマでの休日
朝は軽くコルネットとカプチーノ。 インスタ映えのドルチェも捨てがたい。
バチカンは別の日に観光するとして、今日はのんびりしたい気分。
彼と下町をのんびり散歩したら、トリップアドバイザーで高評価のレストランへ。
エビのクリームリゾットとワインで乾杯。
その後はコロッセオから真実の口に行き、気分は主演女優。
ディナーは地元の人達で賑わうトラットリアでワインとパスタ。なんて素敵なローマ。
そんなのは糞以下だ。黙って安いカーチョエペーペを食べろ、男なら飲め、女でも飲め。
ローマが首都だと気が付いた時には、すでに到着から半日以上が経過していた。
我々の純粋な低学力を棚に上げて言わせてもらうと、
この町の首都の響きとは結びつかない汚さと、溢れすぎる下町情緒。
浮浪者はゴミを漁り、観光客もどこか下品だ。これで首都なわけがないだろう。
だがしかし、
最近の銀座も同じ様相を呈していると思い出した。
きっとどこもこんなものなのだ。
ただ、下町情緒が溢れるこの感じは好きだ。居心地がいい。
そこかしこにアフリカ料理屋や中古のモバイルショップがある。
当然大好きなケバブ屋もある。腹ごしらえはケバブにした。
安いし、うまいし、言うことなし。
トラットリアのランチタイムはどこも終わっていた。
テラス席で売り上げを勘定している小太りの店長、
テーブルに椅子を乗せて掃除する店員、陣取るカボチャ。
休憩中の飲食街は静かだった。
毎日トラットリアには行かない。金が無いし、今日も自炊だ。
ただ、自炊するなら地産地消、それにはまず食事をして味を確認することからだ。
カーチョエペーペという、ローマっ子のソウルフードを食べた。
うどん並みに太いパスタに、山羊のチーズと胡椒を合わせたシンプルな料理。
山羊のチーズの濃厚さがとにかく絶妙で、非常においしい一品だった。
歩きつつみつけた、パワー型肉屋でプロシュートを200グラム買った。
部屋で飲んだら、あっという間に一日が終わった。
混雑する小さなメトロに乗ってバチカン市国にやって来た。
クーポラに上って景色を眺めれば、建物のひとつひとつが絢爛豪華で大きくて広い。
それらがびっしりと収まっている。バチカンは小さいが大きかった。
他に気になったことがある。
入場料だったり、土産物に郵便だったりと、とにかく小銭を要求された。
大きなものと組織の維持のためには、金が必要なのだ。
祈ることはなかったが美しかった。
祈っている人は、別の場所にいた。
人知れず自分達の信仰をするのだ。
そういえば、もっと祈った方が、神様も気に掛けてくれそうな人も多く見掛けた。
トッティのいる町を旅しているわけだが、だんだんと、
ここは王子の住む町というか、ガキ大将がいそうな町のように思えてきた。
冬なのに、気温は15℃まで上がったローマの町中で、ドルチェを食べつつ、ビールを飲んだ。
洒落たローマっ子とか、半袖でアイスを食べている人とか、行き交う人皆、様々だ。
歴史を感じさせる建物と溢れる下町情緒、
観光地の顔だけ、でなどなかった。
その中を自分のペースで歩ける感じがとても心地よかった。
TReC ZINE "Against Poor"
Ep1「ローマでの休日」
¥350